校長会について

理事長挨拶

「全国商業高等学校長協会(以下「全商協会」という。)」を代表して、御挨拶を申し上げます。

  全商協会は、全国高等学校長協会商業部会として昭和23年5月28日に発足して以来、日本の商業教育の振興を図ることを目的として、高等学校における商業教育の牽引役を担いその任務を果たして参りました。商業教育に関する調査研究、全国高等学校長協会に関する事業、公益財団法人全国商業高等学校協会(以下「公益財団」という。)に関する事業の助成、機関紙の発行等を主な事業として、現在も我が国の商業教育の振興・発展に大きな成果を挙げています。平成30年5月21日には、東京・ヤクルトホールにおいて、全国商業高等学校長協会創立70周年記念式典を挙行し、先輩諸賢の功績を敬仰するとともに、時代の要請に応えられる商業教育の振興・発展に向けて更なる実践を目指すことを再認識しました。

ここで、全商協会について御紹介します。令和4年度の会員校数は1,341校、会員生徒数は245,872人を数え、商業を学ぶ生徒達に社会が求めている使える知識や技術を身に付けさせるため、質の高い商業教育に関する様々なサービスを提供しています。具体的な事業としては、毎年春と秋に開催する『全国役員会、総会及び研究協議会』、年間7回の『本部役員会』、生徒を対象とする『全国高等学校競技大会等』(ビジネス計算、簿記、ワープロ、英語スピーチ、情報処理、プログラミング、生徒商業研究発表)、教員を対象とする『商業教育講習会』(ビジネス経済、情報スキル、会計実務)・『実用英語セミナー』・『商業教育研究大会』・『商業教育指導者研修会』等を精力的に展開し、生徒及び教員の人材育成に努めています。

   また、公益財団主催各種検定試験の『三種目以上1級合格者表彰』、『卒業生成績優秀者表彰』、商業教育の向上に大きく貢献した学校に対する『学校表彰』、『高校生国際交流事業(生徒対象)』や『海外商業教育事情視察(教員対象)』等は公益財団法人との共催による主要な事業として位置付けています。 さらに、平成21年度に立ち上げた『就職問題連絡協議会』の開催(年2回)やリーフレット『高校の商業教育』を発行して各企業を訪問し商業高校生をPRするなど、多くの企業や関係団体の採用担当者に対して商業教育の理解啓発に努めるとともに、大学進学に関しても『高大接続連絡協議会』の開催(年1回)や大学への訪問による『全商協会大学特別推薦』(令和4年度入試では23大学に236名を推薦)の拡大及び商業教育の高大連携を推進しています。今後も関係機関に積極的に働き掛け、商業高校生の進路実現を強く支援する体制を構築していきます。  さて、我が国が目指すべき未来社会の姿として政府により提唱された「Society5.0」は、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会で、人工知能(AI)、IoT、ビッグデータ等の先端技術により創出される新たなサービスやビジネスによって私達の生活は便利で快適なものになります。しかし、取り巻く環境がどのように変化しても「超スマート社会」で人間らしく豊かに生きていくには、知識・技能、思考力・判断力・表現力を基礎として自己の主体性を軸にした学びに向かう力や人間性が求められます。そこで、このような資質・能力を育成するために、学校においては生徒一人一人の興味や関心に応じて、地域社会、企業やNPO、大学等と連携した学びの場を提供したり、多様な人とコミュニケーションを図りながら協働したりするなど「社会に開かれた教育課程」による学びを推進しなければなりません。こうした体験と実践を伴った探究的な学びは、科目「課題研究」をはじめ商業高校では既に実践されていますが、時代に求められる人材育成を他学科に先駆けて取り組んできたことを自負するとともに、今後は地域ならではの新しい価値を創造する人材の育成により一層努めていく責務が我々にはあります。

   各校では、「令和の日本型学校教育」の実現に向け、令和4年度入学生から年次進行で実施されている教育課程の完成を迎えているところと思いますが、全商協会でもネットワークを活用して全国各地の研究実践や先進事例等を共有し、主体的・対話的で深い学びの視点に立った質の高い学びの実現に向け支援して参ります。

 結びに、全商協会は生徒一人一人の夢や希望を実現するために、今後も魅力ある商業教育をより一層推進するとともに、我が国の未来を左右する人材を育成するという大きな使命を果たす組織としての責任と自覚をもち、公益財団とともに「チーム全商」として全力で取り組んでいく所存です。全国の皆様の御理解と御協力を切にお願い申し上げ、「全国商業高等学校長協会」の代表としての御挨拶といたします。